国指定重要無形民俗文化財に指定されている「江戸の里神楽」は、稲城市矢野口の穴澤天神社(あなざわてんじんしゃ)で毎年8月下旬の例大祭の日に奉納されます。この里神楽は、穴澤天神社の神官である山本家に代々伝承されているもので、初代山本権律師弘信(やまもとごんりつしひろのぶ)が創始した応安6年(1373年)までさかのぼり、現在の家元山本頼信氏は十九代にあたります。
山本頼信社中の江戸の里神楽は、穴澤天神社のほかに府中市大國魂神社例大祭をはじめ、多摩川流域の約20か所の神社祭礼でも奉納されます。江戸の里神楽の演目は、最盛期の江戸時代後期文化文政期には100座を超える演目があったと言われます。明治7年には里神楽の天覧が行われ、演目の考査により25座の演目が許可となり、この25座が里神楽の基本として伝承され、現在は27座が演じられます。
演目の内容は古代神話を題材にしたものがほとんどですが、明治以降につくられた、鬼女紅葉の伝説を題材とした「紅葉狩」なども含まれます。