調布の祭ばやしは、文化年間に荏原郡世田ヶ谷村字宮ノ坂(えばらぐんせたがやむらあざみやのさか)の大場増五郎を元祖として、同郡同村字代田の二代目師匠・飴屋音五郎から、北多摩郡千歳村字舟橋(船橋)の世話人であった内海軍次郎を経て調布に伝えられた「山の手ばやし」と呼ぶ流派と、福岡仙松(ふくおかせんまつ)、国領の竹内林之介(たけうちりんのすけ)によって伝えられた「下町ばやし」と呼ぶ流派の二つの流派があります。
江戸の祭ばやしが調布に伝えられた時期ははっきりしませんが、調布の人々の間で祭のために囃子を習い始められたのは、明治になってからのようです。それ以降、地元の神社の祭礼を中心に、それぞれの流派を守りながら継承されてきました。調布で演奏される「はやし」の曲目の代表的なものは一. 打ち込み・破矢(はや)(屋台)、二. 昇殿(しょうでん)、三. 鎌倉、四. 国堅め・師調目(しちょうめ)、五. 印旛(にんば)です。
祭ばやし保存会は、昭和31年に8つのはやし連でスタートしてから、現在では10のはやし連が活動しています。例年7月上旬には、日頃の鍛錬の成果を競演する場として調布市郷土芸能祭ばやし保存大会を開催しています。